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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章   15話   『生徒会主催 花見大会 後編』

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「これめちゃめちゃ美味しいよ♪♪ミナちゃんってお料理上手なんだね♪♪祢音姉さんビッくらこいちゃったよ~」

反応もダイナミックかつアグレッシブ姉さんはミナの持ってきた料理に感激しているようだった。…まぁ、内心姉さんまでとはいかんが俺もビックリしているけどな。

「え、あの、その…ほ、本当ですか?でも、まだまだ皆さんのように大したものじゃないのでお恥ずかしいです」

褒められて嬉しさが抑えきれないくらい笑顔で頬を熟したトマトのように赤らめていた。
俺はそんなミナを見ると何だか微笑ましい気持ちが込み上げてくるのを感じていた。

「もぐもぐ…」

かえでは食うことに夢中のようだ。
…まぁいつものことだが。

「うぉぉおおッ!!こんな美少女に囲まれ、その美少女たちの料理が食えるだなんて俺は世界で一番幸せ者だぜッ!!ビバ花見ッ!!ビバ美少女たちッ!!花見にバンザーイッ!!美少女にカンパーイッ!!ついでにハーレムENDな俺にもバンザーイ!!」

止まるということを知らない暴走特急の暁は涙を流してそれらの料理の味とその他を噛締めていた。…まぁ、いつもながら弱1名のこいつはまた違ったことに感動しているようだがな。

あれから、時はあっという間にお昼下がりの午後に移行していた。さっきまでいなかったミナは今から1時間くらい前に遅れてミナの家所有高級感漂う黒色リムジンにて登場を果たした。

最初見たときは皆【ヒカリを除いて】、呆然唖然で度肝を抜かれていたが、何はともあれ全員が揃いようやくこうして生徒会主催の花見大会を始めることができたのだ。

しっかし、あれには驚いたぜ。ミナのヤツすげー荷物抱えてたよな。あれ、この料理の他に何が入っているんだろうな。凄く気になる。それはそうとそろそろ俺も言ってやらねばならんであろう。そんな気がするんでな。

「いや、ホント上手いぜミナの作ったこの料理。うん、冗談なしで上手い!!知らなかったぜ、ミナがこんなに料理が上手だったなんてな」

俺は嘘偽りのない正直な気持ちをミナに言ってやった。
…皆さんにこの料理を食べさせられないのが実に残念だ。

「そ、そんな大げさですよ~ヒナちゃん。でも、…えへへ♪ヒナちゃんにそう言っていただけたのは一番嬉しいです。頑張って作ってきた甲斐がありました」

嬉しさと照れ隠しが混合したハニカミ笑顔でミナは本当に嬉しそうに喜んでいた。
…ホント、こっちまで何だか照れちまうこと言ってくれるぜ。

「あはは。ありがとうな、ミナ」

恒例のイベントになりつつあるがやらずにはいられない。俺は、わしわしとミナの頭を撫でてやった。

「…あわぁう。…えへへ、恥ずかしいですよ~ヒナちゃん」

そして、毎度のようにミナは子猫のように気持ち良さそうに頭を撫でられていた。

「むぅ~。ミナちゃんばっかずるい~。ねぇ、お兄ちゃん、ボクにも頭撫で撫でしてよ~。ほら、ボクの料理だって美味しいよ~ほらほら食べて」

ミナに対抗意識が芽生えたのか明日香は俺に明日香シェフによるお料理をふんだんに振舞おうとしてきた。…なぁに対抗意識を燃やしてやがる。ったくホント子供だな、明日香は。

「そんなに急かさなくてもちゃんと食べるからじっとしてろ。子供じゃないんだからそんなに対抗意識燃やすんじゃありません」

「あぁ~っ!!お兄ちゃんひどいよ~!!またボクのこと子供扱いした~!!ボクもう子供じゃないもん!!プンプン」

子供みたいにじたばたし始めてぷくっとむくれた表情になる明日香。

「それは悪うございましたね。まぁそれはいいとして、ホント驚いたぜ。ミナがこんなに料理が出来るなんて」

この空白の6年間の間にそんなスキルを会得していたなんてな。あの時のミナとは全然想像がつかないぜ。ホント時が経つと人って変わるんだな。

「うん、私もこの前ミナちゃん家で試食会やったんだけど最初に食べたときは私も明日香ちゃんもそれはもうビックリだったよ~」

にこやかな冬姫フェイスを浮かべながら話しに加わる冬姫。

「俺が知らない間にそんな会が催させてたのか~いつの間に。俺も呼んでくれたらよかったのに」

ちょっと悔しかったので拗ねた口調でそう言っていた。…だって冬姫と明日香だけにミナの料理を試食し、いち早くミナの料理の上手さが知れたのは何だか先を越された感が込み上げてくるからな。何だか抜け駆けされた気分だ。

「ごめんなさい、ヒナちゃん。私がお二人だけでってお願いして内緒でご招待したんです」

困惑と申し訳なさそうな気持ちが混合した表情でミナは俺に謝ってきた。

「…そうだったのか。でも、一体どうして??」

「もう~ハルくんったら鈍感さんだな。それはね、ミナちゃんは不安だったりしちゃったんだよ。自分のお料理がどうなんだろうってね☆」

口元に一指し指を添えながらそう言ってくすりと微笑む姉さん。

「そうなんだよ~。ミナちゃん心配だったんだよ~自分で作った料理が他の人の口に合うか、他の人が自分の料理に対してどう思うかとかね。ミナちゃん怖かったんだよ~」

姉さんに続いて冬姫が更に援護射撃に加わる。

「それにそれがハルくんなら尚更だよ。男の人に自分の料理を食べさせるのは勇気がそれはもういるのだよ。自分の料理は自分だけの評価だけじゃわからないこともあったりしちゃうからね~。だからまずは親しい女友達の意見をもらうんだよ」

淡々と女の子の心情を語る姉さん。

「…そうなのか??」

まぁ、確かにわからなくもない。もし、俺が同じ立場ならそうするかもしれん。

「そうなんだよ~。女の子ってね、そういうの気になるんだよ~。だって、頑張って作った料理を食べて笑顔になって美味しいって喜んで言って欲しいもん!!そしたら、また作ってあげよう、もっと美味しい料理できるように頑張ろうって気持ちになれるから。えへへ、女の子ってそういうもんなんだよ~」

俺にはわからない乙女心を展開させ、冬姫は瞳をキラキラと光り輝かせて語るのだった。

「…うーん。女の子にもいろいろあるんだな」

「ふふふ。そうですね。いろいろあるんですよ」

「そうそう~。いろいろあるんだよ~。ねぇ~♪」

ミナと冬姫は女の子にしかわからない何かを共有しているが如くの意味深な笑みを互いにし合い、何だかにこにこと微笑んでいた。きっと俺たち男には到底わからないとこも数え切れないほどあるに違いない。

「でも、春斗にその女心もとい乙女心が理解できるとは到底思えないけどネ☆何せぐーたら属性だからネ~。それにさっきのネオ姉による新たなる付加で鈍感も追加されたわけだし☆」

さっきまで食うことに夢中だったかえでが突然話しに加わるや否や俺に対する失礼にも程がある批評をまだ口をもぐもぐさせながら言いやがった。

「へッ、言ってろ。お前みたいに食べることしか脳がないヤツに言われても悔しくとも何ともねぇよ。それも社会性ゼロの人間にな」

俺はかえでの戯言に耳を傾けず気にせず、明日香にお茶を申請し、その熱いお茶をふーふーしながら飲むことに専念した。…外で飲むお茶はまた違って美味いね。