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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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「紫暮」

気がつくと、公園だった。瑞が真正面からこちらを覗き込んでいる。あたりは暗い。公園の街灯が明滅している。紫暮はベンチに座っていた。

「おまえ大丈夫か」
「・・・なんともないよ。どうなったんだっけ・・・」

頭の中がぼんやりと白っぽくかすみがかっているようだった。隣の七星が気遣うように声をかけてくる。

「時計男が出て、少し喋ったの覚えてる・・・?」
「ああ・・・時間を教えて、それから・・・耳元まで声が近づいてきて」
「そのあと、突然紫暮くん座り込んじゃったの。すぐに瑞さんがきてくれて、時計男は消えちゃった。大丈夫?しばらくぐったりしてたんだよ」

どこも異常はない。怪我をしたわけでもない。ただしばらく意識が別の場所へと彷徨い出ていたのだ。

(夢・・・違う、もっとリアルな・・・思い出せ・・・)

たった今まで、確かに自分は海を見ていたのだ。美しい夕日と、ひぐらしの声。ひまわり・・・。

女の子・・・。

「おまえ、何か視たのか?」

眉間をもんで考え込む紫暮に、瑞が尋ねてくる。

「・・・女の子が、父親を、待っている」

白っぽい頭を軽く振って答えた。夢を正確に他者に伝えることは不可能だ。はっきりと思い出せる断片と単語はそれだけだった。

「・・・もう暗いのか。矢野を送らないと」
「だな。続きはまた明日」

七星を見ると、心配そうな瞳が暗がりの中で光っていた。

「ごめん矢野、なんか俺・・・」

守らなければいけないはずが、気を失うとは失態だ。

「気にしないで。嘘っぽく聞こえるかもしれないけど、あのとき怖くなかった・・・」

静かな声だが、染み入ってくる。彼女が感じているのは、恐怖や驚愕ではない。悲しい声だった。

「怖くはなかったの。あのひと、自分の子どもを探してるんだね・・・」

彼女にも聞こえたのだ。あの男の、悲痛な声が。