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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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新幹線が遠ざかっていく。行ってしまった。何だか名残惜しくて、紫暮はそこから動けずにいた。

「楽しみやね、冬休み」

優しい声が背中を撫でる。振り返った先にいる清香が、柔らかく笑った。

「かえろか、紫暮」
「はい」

ホームを下りて、ひとの込み合った構内を進む。

「あんたが・・・」
「はい?」

小さな声で語りかけてくる清香は、いつもと違い不安そうだ。

「このさき、家のお役目に押しつぶされへんように、うちにできることはちゃんとするさかい・・・せやから」

せやからね、と清香が言葉を詰まらせる。

「・・・紫暮は紫暮のままでおったら、ええんよ」

不器用な祖母がくれた、精一杯の言葉だった。いつかの夜に、瑞と話していたときの祖母を思い出す。あれからきっと、清香なりにいろいろと考えてくれたのではないだろうか。それが紫暮には嬉しかった。

「ばあちゃん、ありがとう・・・俺は大丈夫だよ」

不安は常に付きまとってはいるけれど、それでも負けないと思った。自分らしい未来の形を探るとき、そばにはいつも誰かがいてくれる。

自分を見失わずに、きっとまっすぐに進んでいける。

「・・・瑞も、ときどき背中押してくれるから」

そう、と笑う祖母のほっとしたような顔をして、紫暮は思う。清香も苦しいのかもしれない、つらいのかもしれない。それが少しでも軽くなったのなら、よかったと思う。家族として、こうして心のうちを聞き合いながらやっていけばいいのだ。これからも。