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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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「・・・それは、うん、でも」
「いいの。その気持ちが、嬉しい。気にかけてくれてるのわかるから。完璧なひとだって思ってたけど・・・案外不器用で、ちょっと情けないとこもあるんだね。そんなふうに落ち込んだり・・・」
「・・・悪かったな情けなくて」
「ふふ、」

つま先を見つめたまま、七星が続ける。

「でも、そんな紫暮くんも好きだよ」
「えっ!?」
「あっ!」

沈黙。

「・・・・・」
「・・・・・」

ストレートにそんなこと言うなよ。思わず、大きな声で驚いてしまったではないか。なんだこの空気。瑞はどこいったんだよあのバカタレ!

「も、もう帰らなきゃね!真っ暗だし!」
「お、おう、送る!」

気恥ずかしい空気に耐え切れなくなって、互いに立ち上がった。せかせかと道を歩きながら家路を目指す。静かな夜を歩いていると、足音さえも闇に吸い込まれていくような気がした。
柔らかいその闇の中を、言葉少なに歩いた二人だけの時間。この季節だけにしかない、短い青春時代のほんのわずかにしか姿を見せない時間。淡い恋も、ままならない葛藤も、この先やがて失われていく。紫暮がそれを知るのはもっとずっと先のことだけれど。

「じゃあ紫暮くん、また明日ね」
「うん」

七星が家の玄関を開けて、振り返った。

「紫暮くん、ありがとう。最後まで付き合ってくれて」
「・・・礼を言うのは俺だと思う」

おやすみ。彼女に手を振って、紫暮は家路に着く。なんだか心がぽかぽかしていて、心地よかった。机にしまった彼女からの手紙を、読んでみたいと初めて思う。彼女がどんなことを考え、どんな思いを抱いているか、知りたいと思う。