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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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どういう思いが、彼女に涙を流させているのか、紫暮にはわからない。親子を思って泣いているのか、安堵の涙なのか。それとも、理由もなく流れる涙なのだろうか。

小さな肩が震えている。先ほど時計男と対峙したときとは正反対の弱弱しい姿だ。だけどこの泣いている七星を見て紫暮が感じるのは、彼女の強さだった。彼女は弱い女の子じゃない。ちゃんと自分の思いを貫くだけの意思を持っている。そして、誰かのために涙を流せるのは、痛みを知っている強い人間だけなのだ。

(・・・あの親子が行くべき場所に行けたのは、矢野のそういう強さがあったからだ)

祓うのではなく癒し、救う。
須丸の陰陽師にはできないやり方で、彼女は死者を救ったのだ。

(すごいな)

純粋に、素直に思った。

(矢野はすごい・・・俺なんかよりずっと、ひとの気持ちがわかるんだ)

しばらくして泣き止んだ七星が、顔をあげた。力なくではあるが、笑顔を浮かべていて紫暮はほっとする。

「・・・ごめんね、もうなんともないから」
「・・・俺こそ、気の利いたこと一つも言えなくて、悪い」

情けない。ふがいない。瑞がいまの紫暮を見たらきっと、泣いてる女の子をぼさっと見てるなンて男としてどーなのよ!と文句を言うだろう。

「・・・謝ることないのに」

優しい声が耳朶をくすぐる。

「・・・紫暮くん知らないんだね。自分がほんとはすごく優しいこと。なんて声かけたらいいんだろって、きっと考えてくれてたんでしょ?」