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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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温かな別れ



夕焼けが沈んでいく。静かに夜の帳が落ちて、街は柔らかな闇に包まれていった。ぬるい風が過ぎていく。公園のベンチに腰かけて、紫暮は空の色が変わっていくのを眺めている。

「・・・あれっ、」

ベンチで目を閉じていた七星が目を開けた。

「大丈夫か」
「わたし・・・寝てたの?うそ、ごめん・・・」

違うよ、と紫暮は言う。落ち着かせるよう努めて静かな声で。

「時計男に同調しちゃったんじゃないかって。瑞が」

あのとき、七星の意識に入り込んでいたのは、時計男だった。彼女の優しさが、悲しい魂と響きあい影響しあった。その疲労で倒れてしまったのだろう。

「・・・そっか・・・うん、わたしも、見たよ」
「え?」
「ひまわり畑・・・二人一緒に、並んで・・・あの子、手を振っていたね」

そうか、彼女も見たのか。

「・・・矢野が、ああして一生懸命、助けようって頑張ってくれたお陰だ」

紫暮はといえば、どうしていいかわからずおろおろするしかなかった。情けない。心に寄り添うことで、彼女は男を救ったのだ。

「矢野・・・?」

俯いて黙り込んだ彼女に目をやると、肩を震わせている。泣いているのだ。

「・・・ごめんね、すぐとまるから」
「・・・・・・」

泣いている女の子を前に、どんな言葉をかけていいのだろう。