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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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「瑞・・・」
「目を開けろ。そして見るんだ。娘はずっとそばにいた」

厳しい口調と裏腹に、瑞の目は、悲しみと優しさがないまぜになったような穏やかな色をしていた。

「お前が、気づけなかっただけなんだよ」

静かに影が立ち上がる。そして、紫暮は見た。影の真っ黒い手の先に、小さな指先が絡められているのを。

「あ・・・」

娘か・・・?


「いつも、ちゃんと隣にいたんだぞ」


瑞の言葉に時計男が屈みこむ。そこにいる娘に視線を合わせるようにして。屈んだ影の後ろから眩しい夕焼けが突き刺さり、紫暮は目を眇めた。

「・・・あ、」

うっすらと目をあけると、そこはあのひまわり畑だった。淡いピンクの夕焼けが、遠くの海の水面を反射して輝いている。あたたかな、優しい風。その心地よさに、全身から力が抜けていくような感覚。

ここは彼岸の場所。

「ああ・・・よかった・・・ちゃんと、」

ひまわり畑を行く二つの背中。背の高い男と、小さな少女の後姿が、遠ざかっていく。
あの二人の手が離れることはもうない。ちゃんと一緒に、ゆくべき場所へ迎えるはずだ。

「あ・・・・・・」

振り返った二人の顔は、逆光で見えない。少女は手を振り、大きな影は静かにこちらに頭を下げたのだった。