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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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「・・・気がついたら、夕焼けの中にいた」

滔々と語る七星の言葉に違和を感じ、紫暮は彼女を凝視する。

「そして・・・わからなくなった・・・」
「矢野・・・?」

彼女の目が、先ほどと違う。虚ろな瞳に夕焼けが映りこみ、視線はどこを見ているか定かではない。自分の意思ではないものに喋らされているのだ。

「ここはどこなんだろう・・・どうして・・・いつも夕焼けなんだろう・・・ずっと一人で、あるいているけれど・・・どこへ向かうつもりだったのか、もう・・・」

矢野、と肩を掴んで揺さぶると、糸が切れたように倒れこむ七星。きつく目を閉じて苦しげだが、呼吸はしている。

「・・・思い出したか?」

紫暮は影に語りかける。影はうごめき、それはまるで恐怖に震えているようだった。

「本当はもうわかってるんだろう?ここに娘はいないんだ。どこを探したって、もうここはあんたと娘の世界じゃない」


・・・・  わたしは   死んだのか   
 

低められた悲しい声が、紫暮の胸を突く。悲しい影が泣いている。


「――さあ、受け入れられないことから逃げるために潰した目を、もう一度こらせ」


唐突に響く明瞭な声。瑞だった。いつの間にか紫暮の背後に立っていた。