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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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「紫暮くん・・・!」
「無理だよ、どう言えっていうんだ・・・このひとは、自分が死んで娘が残されることを認められない。だからきっと、娘の死も受け入れない。救いなんてない・・・この夕闇の中で、娘が見つかるまで彷徨うしかないんだ・・・」
「でもあの子は待ってるんだよね?紫暮くんがみたひまわり畑で!」

七星の強い声。紫暮は思わず彼女を振り返る。

「ねえ、覚えてる?娘さんを迎えにいく途中・・・何があったか」
「矢野、」

紫暮の制止を振り切って、七星は時計男の前に立つ。

「・・・思い出そうよ。そしたらきっと、娘さんに会えるから。ね?」

七星の声は震えている。怖いのだろう。だけどそれ以上に救ってあげたいのだろう。本当は怖がりで、痛い思いだってしているのに、それでもここまで紫暮とともに夕闇に立ち続けてきたのは、その思いがあるからこそなのだ。

「道路・・・に、いたの?そうだよね?」

自分が知りうるすべての情報を、彼女は必死に繋ぎ合わせようとしている。

「お迎えに行く途中だった。保育園かな・・・あなたは急いでて、もうすぐ日が暮れちゃうから、娘さんが寂しがってるって思ってたかもしれないね」

影は動かない。だが、七星の声に耳を傾けているのは紫暮にもわかった。この止まった世界の中で、彼女の声だけがクリアで現実味を帯びている。夕焼けにとけてしまいそうな曖昧に揺らぐ心を、繋ぎとめるかのように。

「・・・あなたは、道を、渡ろうとしたのかな。もう日が落ちる。急がなくちゃ。だけど」

ズク、と影が動いた。膝を折るような動き。警戒する紫暮をよそに、七星はひるむことなく語り続ける。

「・・・だけど、あなたの前に、車が飛び出してきた」

影は屈みこむようにすて地面にうずくまる。