小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

INDEX|21ページ/36ページ|

次のページ前のページ
 


現実世界が裏返り、この世でないものが姿を現す一瞬。
逢魔ヶ時が、その顔を覗かせたのだ。

そしてこの、限りなく永遠に近い一瞬には、あちらがわの住人が姿を現す。
黄昏。誰そ、彼。顔の見えないこの者は、人か魔物か・・・。


「時計男・・・」


禍々しい夕日を背に、その黒い影は唐突に現れた。激しい逆光で、すべてが黒い。大きな影が、大木のように立ち尽くしている。



・・・・いま  何時  です   か



搾り出すような声が、頭の中に響いてくる。感情を一切排除した声なのに、底知れぬ絶望を感じる。
死してなお彷徨う、怪人の声。逢魔ヶ時に捕われた、哀れな虜囚。


「・・・六時になる。だけどもう、娘を迎えに行く必要はないよ」

緊張した声で答える。何をどう言えば正解なんだろう。突然死んだ者に、死んだことを理解させるのは難しい。そして愛する娘が死んだことを納得させることは、きっとそれ以上に。

「・・・あんたの時間はとまってる。娘のもだ。あんたの持ってる時計がすべて止まっているのは、そのためだ」

影は動かない。微動だにしない。紫暮の言葉に対する感情のリアクションもない。これでいいのか?これで救えるのか?悲しみを癒せるのか?死んだこともない、失ったこともない自分に。