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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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「・・・って言っても信じられないだろうけど」

言いおえてから七星を見る。七星は一般人だ。須丸の血を継いだ紫暮とは違い、目に見えるものだけが世界のすべてだ。こんな話、信じるだろうか。しかし七星は不審そうにする様子もなく、じっと考え込んでいるようだった。

「現実を侵食する怪異。こちらの世界ではないもの」

瑞が呟くように言った。小さな声だったが、夕焼けに照らされた公園によく響く不思議な声。

「逢魔ヶ時っていう言葉がある。日が暮れて、子ども達が家に帰る時刻。夕闇が迫り、薄暗くなる時刻。黄昏時ともいうな。向こうから歩いてくる何か。誰か。だが薄闇に顔がよくわからない。あれは誰だろう。誰そ、彼。たそがれ。そういう時刻には、こちらがわのものではない何かとすれ違う。夜がくる前触れの時刻。向こうから歩いてくる何かは、人間のふりをした魔物かもしれん」

紫暮は静かに空を仰ぐ。その時が訪れようとしている。もうすぐ夕闇が落ちる。夜が来るまでの、まるで一日の隙間にあるような一瞬だけの時刻。夜でもない、昼とも違う、なんともいい難く半端で、それでいて明らかに異質なその時間・・・。

「あの・・・時計男って、生きているひとではないってことですか?」

七星が静かに尋ねる。

「そう。変質者でもない。魔の刻に闊歩する怪人だ。幽霊なのか、魔物なのか・・・それはわかンないけど」

瑞のその言葉に、初めて七星に同様の表情が浮かんだ。

「人間じゃないってことですか・・・?」
「そうなる」

彼女の青ざめた表情がよく見えた。小さなくちびるが、かすかに震える。