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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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夕闇で待つ



今朝もまだ蝉が鳴いている。秋の到来を思うのは夜半の涼しい風くらいのもので、京都の残暑は厳しい。

(・・・休みかな)

今朝の教室に紫暮の姿がなく、七星は首を傾げた。一時間目がもう始まる。

(・・・昨日のことで、具合悪くなっちゃったのかな)

時計男と対峙し、しばしの間座り込んでしまった紫暮。夕暮れの毒々しいオレンジの光の中、どす黒い男に彼は何を見たのだろう。軽はずみに助けたいなどと言ったわけではないが、七星は責任を感じてしまう。お見舞いにいってみようか、とそわそわするのを止められない。

「須丸紫暮、きてないのかー」

出欠確認で、担任も首をひねる。欠席の連絡もないらしい。そのとき、教室後方の扉が開いて紫暮が飛び込んできた。

「すんません・・・」
「おーい遅刻だぞ。珍しいなあおまえ」
「はい、まあ」

紫暮はばつが悪そうに自席に付くと、教科書を出す。

「なにおまえネボーか?」
「焦った。起きたら八時だった」
「まじで」
「アラーム自分で止めてた」

隣の席の友人とそんな会話を交わすのを聞いて、七星はこっそりほっとする。怪我をしたわけでも、体調が悪いような風でもない。

(眠そうだけど・・・)

もしかして寝不足なのだろうか。それはそれで心配だ。ぼーっと机に肘を突き、ときどきうつらうつら船をこぐ彼の背中を眺め、七星は午前の授業を過ごしたのだった。