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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか2 神末一族番外編

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おやすみなさい、と頭を下げて自室に戻る。網戸の外から、心地よい風が吹いてカーテンを揺らしていた。夏布団をかけてもぐりこむ。暑さは夜になるとゆるみ、秋の気配を連れてくる。その風の匂いが、なんだか胸をしめつけるようで何度も落ち着き泣く寝返りを打つ。


そばにいて 


布団に入ってからも、あの歌が離れなかった。思った以上に、映画が余韻を引いている。
子ども時代のどんなに大切な宝物も、大人になって、徐々に輝きを失う。時を経て別れていく命がある。

(・・・そばにいて)

家族がいて、友がいて、居場所がある。信念があって、目標もある。それでも、自分がどうしようもない寂しさを抱えていることを紫暮は知っている。忙しく過ぎる日々の隙間に、それがひっそり息づいていることを知っている。誰しも、そんなふうに生きているのだろうか。たとえがたい、この名前のない感情を抱えて。

(時計男も、そしてあの女の子も一人なのかな・・・)

瑞も?

あいつも、寂しいと思う夜があるのだろうか。
そんな夜はどうするんだろう。眠らずにいれば、朝を待てば、こんな思いは消えるだろうか。

(なんでだろう、寂しいなんて・・・)

血の通った穂積と瑞のやりとりを見たからなのか。

わけのわからないせつなさを抱いて、紫暮は目を閉じる。

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