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海野ごはん
海野ごはん
novelistID. 29750
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ひらひらの夜だもん・・・

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由里子の勘定と一緒に慎一は払い終わると、足がふらつく由里子を抱え上げるようにして外に出た。
サイレン灯を赤く回したパトカーが通りを流していた。
「どっちだよ?」腰に手を回した慎一は由里子に聞いた。
「あっち・・・あのビル」
慎一は由里子が指差した方のビルに向かって、彼女を抱え上げるようにして歩き出した。
「どんだけ飲んでいたんだ?結構足に来てるな。毎日呑んだくれてんのか?」
「余計なお世話だっちゅ~の」口元も酔っているようだ由里子は。
100mほど歩くと由里子のマンションに到着した。
「ここよ、ここ・・・鍵はポケットにあるから」
慎一は腰に回した手をポケットに突っ込むと、ジャラジャラ幾つもの束にした鍵を取り出した。
「どれだ?」
「こ~~れ」
慎一は受け取ると、セキュリティの鍵を右に回した。二人の帰りにお帰りなさいませというように自動扉は静かに開いた。
「何階なんだ?姐さん」
「701」
「旦那はいないよな」
「あら、いたっていいじゃん。送り届けましたって言えばいいんよ」
「話が違うじゃね~か」
「ふふっ、なんだ私が一人で誘ったから、やれると思って上がってきたの?」
「馬鹿言ってんじゃないよ。いたら、帰るからな」
「いなかったら?」
「・・・・・その時はその時だ」
「あら、何照れてんのよ・・・強盗さん」
7階のフロアに着いたエレベーターはチンッ!と音を出した。
人の気配がしない静かな廊下がまっすぐ伸びていた。
701の部屋は一番手前にあった。
慎一は旦那がいたら帰るまでさと思って鍵を回した。ガチャリ・・金属音が響く。
「すいませ~ん。お宅の奥さんがお帰りですよ~」慎一は声を出してみた。
暗い部屋からは物音一つしなかった。
電気はどこだ?適当に壁のスイッチを押すとリビングとそれに繋がる廊下が明るく照らされた
「あがりま~す」
慎一は由里子を玄関に座らせると、靴を脱がしてやった。相当酔っているようだ。
そして、そのまま立たせると引きずるようにリビングに連れて行き、ソファーに投げやった。
「乱暴にしないでよっ!」
「してね~よ」
慎一は由里子が住んでいる部屋をひと通り眺め回した。何の変哲もない部屋だ。
生活感はあるようでない、ただのモデルハウスのような片付いた部屋だった。
ソファーでぐったりしている由里子をそのままにして、慎一は勝手に冷蔵庫を開け、缶ビールを取り出した。冷たくギンギンに冷えていた。そして窓際に寄り、下の通りを見ながら缶ビールを開けた。
赤い灯を回したパトカーが偵察するように走っている。
慎一はテレビを付けた。バラエティ番組の意味のない笑いに嫌悪感を覚え、すぐにチャンネルを変えた。どこかの旅番組だろうか、しばらくボォーと見ることにした。由里子は眠っていた。

この女・・・いつもこうやって男を連れ込んでるんだろうか?旦那が出張というのが手なのか?
あまりにも簡単に男を家に侵入させやがる。警戒心はないのか、ただの酔っ払い淫乱女なのか・・。
慎一は疲れた顔を見せて無警戒に眠る由里子の顔をまじまじ眺めた。
ふぅ~どうしたもんかな・・・ここで旦那に鉢合わせしたらバツが悪いよな。帰るか・・・。
しかし・・・。