影ふむ鬼子は隣のだれか1 神末一族番外編
立派で、尊敬できる祖母。
その跡目を継ぐ紫暮に、清香は決して容赦をしない。
尊敬している。嫌いではない。孫としてかわいがってもらった記憶もちゃんとある。
だがその反面、あの完璧さが、強さが、ときに恐ろしい。
あの完璧さと強さでもって、彼女は一族の頂点に君臨し続けている。
「・・・!」
制服のポケットに入れていた携帯電話が着信を告げる。弓道部の先輩からだ。
『あ、紫暮?もう家?』
「さっき着きましたけど・・・」
『なんかさ、学校の周辺で不審者情報があがったんだって』
不審者?
『だから部員全員に帰宅確認とれって、顧問が』
無事着いたならいいよ、と部長が告げる。不審者だって?夏も終わったというのに。
「うちの学校の生徒が遭遇したんですか?」
『バレー部の一年の女子だって。なんか、声かけられたんだって、怪しい男に』
作品名:影ふむ鬼子は隣のだれか1 神末一族番外編 作家名:ひなた眞白