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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか1 神末一族番外編

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そのとき。

「イッチョマエに恋文なんかもらうようになったのか?」

背後から伸びた手に手紙を奪われ、心臓がとまるほどに驚く。慌てて振り向けば、目の前にミルクティー色の髪が踊った。

「み、っ・・・」

瑞だ。
足元も気配も感じなかった。真っ赤なティーシャツにカーゴパンツ、ミルクティー色の伸びきった髪。やんちゃな高校生という風貌。眼差しは驚いた紫暮に満足したのか悪戯っぽく笑っている。一年前にあったときと変わらない姿で、瑞がそこにいた。

「おまえなんでここにいる!ばあさまが、つい今しがた迎えに・・・」
「びっくりしたか?バスと地下鉄乗り継いで、先に来た。穂積が土産を買うとかで時間を食っていたのでな」

にやにやしながらベッドに座ると、手紙をひらひらさせる瑞。

「読むつもりなさそうネ」
「・・・返せよ」
「しかしおまえも難儀だな」
「・・・なんだよ」
「おまえの女への苦手意識はもう宿命みたいなモンだ。清香みたいなのが近くにいりゃ、そうもなるわなあ」
「!」

一番指摘されたくないことを言われたのだと、意識する間もなく、立ち上がっていた。

「おっと、図星さされて怒っちゃった?」
「・・・返せっ!」
「少しは歩み寄る努力も必要だぞ」

何が分かる、と手紙を奪い取った紫暮は瑞を睨みつける。

「化け物のくせにっ・・・!」

人間の心の機微を、こんなやつに諭されるなど屈辱だった。怒りに任せて部屋を出る。

これだから嫌なんだ。瑞と会うといつもこう。内面を見透かされて不愉快な思いばかり。

(・・・けど、そうなんだ。わかってる。ばあさまは、俺のコンプレックスというか・・・ある意味トラウマなんだ)