影ふむ鬼子は隣のだれか1 神末一族番外編
放課後。部活を終えて弓道場をあとにする。校門でそわそわしている矢野七星を見つけ、友人たちにここで、と手を振った。
「なに紫暮、おまえ矢野と付きあってんのかよ」
「俺じゃなくて、うちのばあちゃんに用なんだ」
「あーおまえのばあちゃん、お茶の先生もしてんだっけか」
そうそう、うまいほうに解釈してくれるとありがたい。
「俺らのバイオハザードの師匠だしな。おまえのばあちゃんすごいよな。いま何のゲームしてんの」
「ポケモン集めてる」
じゃあそういうことだから、と手を振ると、友人らも快く見送ってくれた。
「ばあちゃんに、またバイオご一緒して下さいってゆっといてなー」
「おー」
歩き出すと、小さな七星が慌ててついてくる。
「すごいね紫暮くん・・・」
「堂々としてりゃいいんだよ」
「そっか・・・」
その寂しそうな声にはたと気づく。
(・・・あれ、俺ってなんか間違ってるかな)
振った女子に気を持たせるようなこと以前に、気を使わせているかもしれないと思い至る。
(でも、矢野は待ち合わせても大丈夫って言ってたし・・・や、それ無理してんのか?もしかして俺って無神経か?振った子と、こんなふうに)
ぐるぐる思考が回りだし、しばし時間が止まってしまう。
作品名:影ふむ鬼子は隣のだれか1 神末一族番外編 作家名:ひなた眞白