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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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影ふむ鬼子は隣のだれか1 神末一族番外編

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翌朝、朝連を終えて教室に入ると、矢野七星の姿はなかった。欠席か。昨日のこと、大丈夫だっただろうか。

「濱崎、矢野は?」
「七星は休みだって。メール来てた。熱出たんだってさ」
「熱?」
「うん。めずらしーよね、七星が休むとかって」

通り魔に遭遇したことは、広まっていないようだ。紫暮は少し安心する。

「七星になんか用でもあった?」
「・・・別にそういうんじゃないけど」
「ふうん?」

上目遣いでじっと見つめられた。怪しまれている。余計なことを突っ込まれる前に、紫暮はその場を離れた。

授業は滞りなく進む。昼休みの喧騒の中にも、放課後のゆるい空気の中にも、七星が時計男に遭遇したという話は聞かなかった。


放課後、今日も早々に部活が終わり、暮かけた夕暮れの町を家へと向かう。一人、また一人と別れていき、いつものように一人になった。

昨日の、児童公園の前に差し掛かる。

(ここだったな)

車止めを超えて園内に立ち入る。砂場の向こう、こちらの入り口から百メートルほど先に、向こうの住宅街への通りが見える。

七星はここからショートカットしあちら側へ向かおうとしたところで声をかけられたのだというが・・・。

児童公園の時計は、とまっていた。オレンジ色だった空が静かに暮れゆく時間。

(誰もいない・・・)

公園が静かだ。ただ一人、立ち尽くす紫暮と、その足元から伸びる、長い長い影だけ。もうすぐ夜が来る・・・。早く家に帰らなければいけない。