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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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光の雨 神末家綺談最終章

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こんな表情を見ることができただけでも、自分の人生には価値があったと思えるような。

「・・・穂積。魂が輪廻を繰り返すというのが本当で、俺に来世というものがあるのなら」
「うん?」
「次は、本当におまえの子に、産まれたい」



「だから・・・」

続く言葉は、風に消えていった。だが、すべてを言わずとも、穂積には瑞の思いが伝わった。互いにもう、対話は必要ない。穂積はそんな思いで振り返る。

「伊吹が来たようだ」

石段の下に、いつの間にか伊吹が立っていた。

この時代、この場所で、長く続いた物語を終わらせる者だ。穂積とともに、瑞に選ばれて生まれてきた、最後のお役目。

「伊吹」
「じいちゃん・・・大丈夫だよ」

伊吹の目は、もう迷っていない。強くも柔らかな光を讃えたその瞳が、まっすぐに穂積を見て笑った。

「俺が・・・ちゃんと瑞を、あるべき場所へ連れて行く。心配しないでね」

強くなったな、と思う。悲しみは、痛みは、ひとを強くする。強い人間ほど、悲しみを知っている。痛みを味わって生きている。覚悟を決めたのだろう。ならばもう、自分にできることは何もない。

「じゃあ、行くよ」
「ああ」