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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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光の雨 神末家綺談最終章

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「ずっとずっと、感謝していた。おまえが俺の願いを叶えるために、つらい役目を引き受けてくれたこと・・・」

瑞が顔を上げた。静かに微笑んでいる。こんな表情が、できるようになったのか。花にふかれ、穏やかに笑っている。感情の抜け落ちた瞳を向けられていたころからは想像もつかない。

「・・・おまえはいつも、平気な振りをしてくれたな。今だってそうだ。それが申し訳なくて・・・だけど嬉しかったんだ。俺はずっとずっとおまえに守られてきた。おまえの痛みと引き換えに、幸福に近づいてきた」

心を吐露する瑞。その手を強く握り、穂積は微笑んでやる。

「感謝するのはわたしのほうだ。こうしておまえの願いを叶えることができるから、わたしにも生きる意味があったのだ」

自身の人生に絶望していたかつての穂積に、生きる意味を与えたのは瑞だ。

「数多くのお役目から・・・わたしを選んでくれたこと、感謝するよ。ありがとう」

数千年続いた一族の歴史。その数多くの神末の中から、己を選んでくれたこの魂の運命に、穂積は心から感謝する。つらくとも、悲しくとも、この瞬間を迎えられることができてよかった。

「じゃあ・・・お互い様だな」

瑞が、笑う。照れくさそうに、年相応とでもいうのか、飾り気のない笑顔だった。