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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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光の雨 神末家綺談最終章

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慌てて目元をぬぐう青年を、妹が心配そうに見つめている。

「・・・なに、平気?」
「なんでもないって。あ、買ってくれたのか俺のぶん。アリガト」
「どうぞ。新幹線の時間もあるから、おみやげ一緒に見に来て」
「はいはい」

青年は立ち上がり、老人に笑いかける。

「あの、ゴメンナサイ、変な話しちゃって・・・」
「こちらこそ。年寄りの話に付き合ってもらって申し訳なかったですね」

立ち去りがたそうな青年。逡巡するかのように辺りを見渡してから、老人に笑いかける。

「・・・あの、じゃあ俺行くね。おじいちゃんは、一人で大丈夫?バス停まで送ろうか?」
「お気遣いありがとう。でも平気です。家族がここまで来てくれることになっていますから」
「ん、そっか」

じゃあ、と彼は手を振る。妹とともに、老人に背を向けて。

「さようなら」

老人は、すぐに背中から目を逸らした。もう二度と会うこともないだろう。心の中の郷愁の正体を見極めることなど、もう不可能だ。

(ただの、気のせいか)