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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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光の雨 神末家綺談最終章

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「・・・俺、おじいちゃんに会ったこと、ある」

青年は、じっと老人の顔を見つめながら言った。

「・・・なんだろう、ずっと、会いたかった・・・」

ずっと探していた気がする。青年はそう続けた。夏の日差しが静かに水面にとけて、きらきらと光る。

いまじゃないいつかは。
存在していたのだろうか。

「あ・・・」

何か、もう少しで思い出せそうな気がするのに。言葉にならなくて、老人は黙る。青年の瞳は、夜のように深い色を写し、記憶の断片を揺さぶってくるようだった。

――きみは誰だった?わたしの、誰だった?

「思い、出せないや・・・」

青年が呟く。悲しそうに眉が寄り、静かに涙が零れるのを老人は見る。

「思い出せないのが、こんなにも悲しい・・・こんなにも・・・」

彼が泣くのを、自分は確かに見たことがある。それなのに、それが何に由来することなのかが、わからない。なぜ彼の涙を、こんなにも愛おしく思うのかが、わからない。

水鳥が静かに羽ばたいて、止まっていた時間が動き出す。

「お兄ちゃん?」

気がつくと、先ほどの少女が不思議そうにして立っていた。手には二つ、カップを持って。

「どうしたの?」
「・・・お、戻ったのか」