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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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光の雨 神末家綺談最終章

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「おじいちゃん、前世とか輪廻転生って信じる?」
「・・・魂は巡るという、」
「そ。俺、その修学旅行以来、この不思議な感覚何なのかなって、いろいろ勉強したンだよね」

青年はそう言って笑う。

「いまじゃないいつかで・・・俺は誰かと一緒に、たぶん大切な誰かと一緒に、この景色を見てたのだと思う・・・そんな気がする・・・」

いまじゃない、いつか。

「わたしも同じです」
「ふん?」
「ここにいると・・・自分の中の別の誰かが、懐かしいと感じているような気がするのです。きみの言うように、わたしの魂がいつかの時代、ここで大切な思いを紡いだのじゃないかって」

おじいちゃんも、と若者は不思議そうに顔を上げる。

「どうにも離れがたくて・・・。京都見物している妻と息子夫婦に無理を言って、わたしだけここに。ここにいれば、なぜ自分がここを懐かしく思うのか、わかるような気がして」
「そうなんだ…」
「・・・懐かしいのだけど、わたしは同時にとても悲しい。何か大切なものを失って、それはきっとこうして同じ景色を見ていた誰かの存在なのだと思うのです。どうしても、それが誰であったのか思い出せない・・・」

大きな喪失感。妻も家族も存命で、亡くした友人らもいるにはいるが、それとはまた違った存在が、自分にはあったはずなのだが。

家族でもない、友人でもない。

一体「それ」は誰であったか。