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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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光の雨 神末家綺談最終章

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穏やかで、すべての不安から開放されていくような。そんな瞳。

「穂積」
「・・・行くんだな」
「・・・うん」

二人で並んで、山を見渡す。静かだった。何を話そうか。これが最後だというのに、穂積は何も言えずにいる。

寂しさは、当然にある。我が子同然に愛してきた魂が消え、自身の中からも瑞に関するすべてが失われるのだ。

なかったことになる。瑞はそれを望んでいる。

「穂積。苦労をかけたな」

雪の降る夜空を見上げていた瑞が、突然そんなことを呟くように言う。

「何だ、突然」
「いや・・・だって、言っておかないと」

照れているのか。穂積は微笑ましく思い、胸が温かくなるのを感じた。

「柄じゃないだろう、瑞」

随分人間くさくなったものだ。心が育っているのだなと、穂積はそんなことを思う。

「俺だって、別れ際くらいちゃんとする・・・それくらいわきまえてる」
「清香さんが聞いたら大爆笑だな」
「まったく・・・おまえは俺を何だと思ってるんだ」
「かわいい息子だと思ってるよ」

瑞が言葉を飲み込む気配が伝わる。ざざ、と桜の木が鳴いた。

「手のかかる・・・だけどこの世に唯一の、大切な存在だと、思っている」