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たららんち
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novelistID. 53487
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ぶろぐがわり

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中間発表、打ち上げ



 学部生の中間発表がすべて終わり、その打ち上げをすることになりました。飲み会をする場所は、ここから少し遠いです。そのため、タクシーを呼ぼうという話になりました。
 しかし、皆さん、知ってます? タクシーって、四人までしかお客様を乗せられないのです。
 そのことに気づいた私は、この研究室には「九人」人が居ることを確認した後いいました。
「俺、歩くよ!」

 それが、数日前のこと。
 そして、当日。
「結局、今日どうなるの?」
「え? 五時に予約してるよ?」
 時計を確認すると、午後四時半。
「これ、小走りコースやないですか」
 ここから飲み会をするお店まで、普通に歩くと四十分強。しかも今回、私は場所がわからないのでそれを調べて時刻は現在すでに四十分。五時まで残り二十分!
「いってきます!」
「え、マジで行くの!」
 飲み会会場まで三キロ超、私は走り続けました。その結果、なんとタクシーで来た友人たちよりも早く着いたのです!
 少しの達成感と多大な疲労感を抱えて飲み会に参加、数々の突っ込みをこなし、喉をがらがらにした私は帰路につきます。

「北海道って、やっぱり路面つるつるだよね」
 そういったのは新潟出身の友人です。
「新潟でも、雪は降るでしょ?」
「新潟は、水を出して溶かしてるから」
「……え? どこでも?」
「うん」
 驚きの新事実です。その後、話は気温に移ります。
「北海道に来て、寒くて肌が痛いっていうのをはじめて経験した」
「新潟はそうでもないの?」
「うん、まぁね」
「そうなんだ。でも、あれだね。今日なんだかあったかいなと思ったら、ゼロ度でしたとか小学校のころからあったわ」
 ありがちな、「寒さ強いぜ」自慢です。しかし、もしも回りに北海道出身の方が居た場合、聞いてみてください。おそらく結構な割合でそう感じたことがあると思います。
「それね、意味わからない。だって寒いじゃん!」
 笑いながらいう友人と歩いているときに、ふとしたことを思い出しました。
「そういえば、俺、『この冬はブレザーだけで過ごす』とかいうことやったことあるわ」
 ブレザー、言わずもがな、制服のことです。つまりは、中に下着としてシャツを着て、その上にワイシャツを着て、ブレザーを羽織る。それで、今年の冬は乗り切るということです。
「……は?」
 友人は驚きを通り越して呆れ顔。
「いや、マジ。なんでかわからないけど、『俺はこの冬、ブレザーで行く!』って」
 本当に今では何でかわからないです。高校生とは、自分で大人に思っていてもまだまだ子供なのでしょう。そして、今の私を見て、数年後の私は「まだまだガキだ」とおもうのでしょう。
「親に『上着、着なさい』って言われても、『いや! 俺は着ねぇ!』」
「何の意地だよ」
 そう友人に笑われました。
 今でも、その冬のある日のことを覚えています。何の変哲もない一日だったと思うのですが、夜に寒い寒いと歩いている記憶です。
 こういう風に、なんてことのない記憶の積み重ねが今に繋がるのでしょうね。

 あ、ちなみに、その冬はとてつもない鼻水の量が出たことも覚えています。良い子はマネしないように、念のため。


作品名:ぶろぐがわり 作家名:たららんち