エッセイ集:コオロギの素揚げ
創作裏話 時代小説は、何から何まで難しすぎる!
現在執筆中の時代小説は、およそ200年前の大坂を舞台として書き進めている。
江戸開府からの200年間と現在に至るまでの200年間とを比べると、後者は、全く異なる世界の出来事かと思えるほどの変化がある。
時代考証ができる力は持っていないが、言葉づかい、装い、生活様式、考え方、しかも地勢まで異なっていること、などなど。
大坂の町中に当時あった川のほとんどは埋め立てられ、または伏流水となって、その痕跡は全く残っていない。古地図とグーグルの地図を照らし合わせてやぁっと見当をつけられる程度だが、古地図の地名の読み方が分からなかったり、文字の判別すらできない時は、誤魔化すしかないかと思っている。
小説を書くからには、ある程度はその時代に沿った言葉の言い回し、装い、生活様式などの世相を取り入れていきたいものだ。
流通している貨幣。どのように換算しているのか、も一つ掴めない。
金本意の江戸に対し、銀が主流の大坂。
金1両は4分または16朱、銀60匁で、銅銭にして6〜7貫または6000〜7000文。よって1朱銀は2.5匁。銀1匁は100文。
腕の良い大工の日当は、およそ銀6匁。野菜の棒手振りの1日当たり売り上げが200文。店賃月当たり銀10匁。寺子屋の月謝銀2朱。木戸番給金1軒につき20〜100文。
与力の年俸200石、実際は80石の切米支給。
米1石は金1両。
同心の年俸10石3人扶持。1人扶持は1日玄米5合。
などなど、ああ、ややこしい。無視して話を進めたらよいのかもしれないが、主人公を含む庶民の暮らしぶりを理解するためには、知っておいた方が良いと思っている。
便利な検索機能のおかげでかなり助かってはいるが、一つひとつ確認しながら書いていると、事柄があまりに多すぎてそれだけで時間を費やしてしまい、ついには書くのが嫌になってくるのである。
それでも、時を経ても変わらないものがあった。
それは、幾多の感情を含めた人間の本質。
また大坂に早くから芽ばえていた、人を面白がらせようとする、ダジャレ精神。
小説の中で、無理矢理に引用している大坂洒落言葉は、今にしては意味の通じない、あるいは古臭いものもあるが、立派に通用するものも多い。ただし、下品なものが多い。それをどのような場面で活用しているか、お分かりいただけるだろうか。
それにしても、時代物は、やっぱり疲れる。知識がない事が最大の原因なのだが。
結末のイメージはほぼ出来上がっている。
途中のストーリーが、全くまとまらず、進まない。トホホホ・・・。
2015年11月12日
作品名:エッセイ集:コオロギの素揚げ 作家名:健忘真実