エッセイ集:コオロギの素揚げ
【注意】マダニ。噛まれて大変な目に遭いました
数年前から、日本においてもマダニに噛まれた人が死亡したというニュースを聴くようになった。重症熱性血小板減少症候群やダニ媒介脳炎、日本紅斑熱などがある。
毎日歩いている五月山では道を覆うほどに草が伸び、場所によっては草をかき分けるようにして歩いている。長袖長ズボン手袋に帽子を被っているから、山で虫に刺されたり噛まれたことは、今のところない。
犬の散歩のときにも同じような格好をしている。朝は年中同じコースを歩き、夏の午後の散歩は付近を少し歩くだけである。犬も、この暑さで歩くのが大儀らしい。しかし、道草には熱心である。植え込みに顔を突っ込むぐらいは許している。その時にマダニがくっついてきたのだろう。ノミダニ防除の薬はしているから、毛に付いたダニはどこかで落ちていることになる。
その落ちたダニが、私に取り付いたのだと思う。
場所は家の中。
チクッと感じたので脚を見ると、小さな黒い物が付いていた。家の中では、肌は露出している。ゴミが付いてると思って取ったら、プチッという小さな音が聞こえた。なんやろとよく見ると・・・マダニ、だったのである。それは平たく、いとも簡単に取れた。日曜日の夜のことで、そのままにしてすぐに寝た。
翌朝、別段どうということもなく様子をみるつもりだったが、感染のことが気になって、ポイズンリムーバー(p23参照)を初めて使ってみる気になった。どのような状態であったかは省略するが、良かったのか悪かったのか。
午後になると、赤く腫れてきた。皮膚科はいつも混雑しているので憂鬱だったが、おそらく残っているのであろうマダニの異物を執ってもらわねばならない。病院嫌いでほとんど行かないのだが、意を決した。
その個人病院はネット予約になっていた。順番が近づくと病院へ行き、問診に記入をした。
すると、「今はメスを執らないんです。市民病院の救急に行ってください」という。
そんなぁ〜、という気分で帰宅した。
朝になって、掃除等で動いているうちに体液が流れ出してきて、慌てた。ガーゼを探し出して当て、大急ぎで市民病院へ行った。
結局、順番がくるまで2時間待つ。
そして、切開。麻酔注射の痛いこと。麻酔を打っても、時々襲う痛みに、胸に組んでいる指をトントンと動かす。それは5分程度で終わった。
翌日の診察で、シャワーはOK。
「傷口はどうするの?」
「手で、泡立ててよく洗ってください」
えっ!? 思わず聞き返した。
「傷口を洗っていいの?」
汗を流せるのは嬉しいが、私の知識では傷は防水をして濡らしてはいけなかったはず。
肝心のことを聞きそびれてしまった。
感染症にかかる可能性を。
抜糸のときに忘れずに訊こうと思っている。
マダニは、街中の公園などでも、おおいに繁殖しているとのこと。植え込みの中が好きな猫が広めていると思うが、犬・猫を飼っておられる人は、体になにかが付いていてもゴミだと思い込まずに、よく観察してから判断してください。
ほんとに、大変な目に遭っている最中です。
2017年 7月15日
作品名:エッセイ集:コオロギの素揚げ 作家名:健忘真実