エッセイ集:コオロギの素揚げ
ゴールデンレトリバーの水遊びに、ラクロスボールが面白い
犬の中でもゴールデンレトリバーは、遊びが大好きだ。遊びが大好きな私とは、相性がよく合うということである。
毎年、泳ぎに連れて行く。
近くの川は汚い、あるいは、犬の足が届かない深さの、ゆったり泳げる川がない。そこで年一回は遠出するのだが、近年は、犬専用ビーチが増えてきて大変嬉しい。
昨年までは、豊岡市竹野町の青井浜わんわんビーチへ出かけていた。犬連れでないと、ビーチに入れない。そこでは、リードなしで自由に移動させられる。ただしトラブルは、飼い主の責任である。近年は犬でごった返し、シャワーは順番待ち。くつろいだ様子を見せる犬用温泉に入れるのも、順番待ちとなる。
レトリバー以外の犬は、自ら泳ごうとしない。飼い主が、せっかく来たのだからと、フロートに乗せたり、なんとか海に入れようと抱いて一緒に入ったりと、努力している。
小太郎(仮名)は、海を見るとすぐに走り出し、ひとりで泳ぐ。どこまでも泳いでいくので、呼び戻すのに難儀したことがある。泳ぎながら海水をたっぷりと飲み込んでいるらしく、即、下痢をして、後始末が大変だった。
淡水で、気兼ねなく泳がせる所はないものかと検索したら、あった。
琵琶湖の、マキノサニービーチ。
オートキャンプ場の一角に、犬専用ビーチを作っている。まだそれほど知られていないのだろう、ほんの数匹の犬が遊んでいるだけだった。
水上バイクが走り、カヤック教室があり、釣りをし・・・諸々のことがらを楽しんでいる人たちと離れた場所にあるが、犬を連れていない人は好きな所で泳いだり潜ったりしているから、一緒に泳ぐことになる。
リードを付けていることが条件で、小太郎には、20メートル程のロープを繋げた。
鷹だろうか、数羽がかたまって、湖面すれすれに舞い降りては飛び上がる。
それを追いかけようとするが、すぐに諦めたようだ。なにせ、泳げても、飛べないのだから。
ほっといても勝手に泳ぎまくっているのだが、自分だけで泳いでいると、次第に退屈になってくるらしい。水際で寝そべって、遊んで欲しそうにする。
「魚でも捕まえておいで」
と言っても、そこまでは教え込んでいない。
そこで、ラクロスボール。テニスボールより若干小さく、弾力があるので、咥える時に弾いたりしやすい。
投げてやると、勢いよく水に入り、泳いで、咥えて戻ってくる。口の中で噛み噛みする感触を気に入って、放そうとしない。取り上げようとすると、手の届かないように向きを変える。押さえつけて取ろうとすると、うなる。
浅瀬で口から出し、浮いたボールを足で押さえようとしては弾いて、いつまでもそうして追いかけまわしている。
やっと押さえることができ、その間に咥えようと、顔を水の中に入れ、ブクブクブクブクしているが、うまく咥えられない。弾いたボールを先に取り上げて投げると、一目散に泳ぐ。
そんな、はしゃぎ回っている姿を見ているのが楽しい。ささやかな、幸せの時である。
もう少し若ければ、一緒に泳いで遊ぶのだが。着替えたり、泳いだ後のシャワーなどが面倒になってきている、とゆうのは言い訳で、冷たい水の中に入る気力がなくなってしまったのである。
マキノオートキャンプ場には、犬専用の有料温水シャワーがあり、持参したシャンプーで洗うことができる。犬用シャンプーは、売店でも売っているそうだ。
毎年恒例の海水浴(湖水浴)を、今年も早々と終えた。
気が向いたら、もう一回遊びに行こうか。
伸び伸びと、おもいっきり泳ぎまわれる機会は、なかなか作ってやれないから。
2016年 7月22日
作品名:エッセイ集:コオロギの素揚げ 作家名:健忘真実