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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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風、彼方より舞い戻る 神末家綺談8

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あの地下書庫で見つけた書物と櫛。瑞の魂に導かれた伊吹が封印を解いたことで、動き出しているのだ。たぶん、いろいろなことが。最初に封印を解いた穂積ではなく、自分に何かしらの役目が与えられているのは間違いない。

「瑞が・・・ずっとこのところずっと神社の鳥居の前に立ってるんだ。呼ばれてる気がするって言って」
「・・・妹の魂に、ってこと?」

おそらくそうなのだろう。

不思議な因果律が働いている。伊吹にはそう思えてならない。

地下書庫の封印を解くべく生を受けた伊吹。その伊吹の行いが瑞の記憶に作用し、果てはかつて深く繋がっていたみずはめの魂にも作用し始めている。その結果、みずはめの影響を強く受ける姉にも変化が現れる・・・。

すべてはおそらく、瑞の願いを叶えるため。そのために、見えない力が働いている。
伊吹がこの時代に生まれたことも、仕組まれていたかのような気分だ。

長く長く続いた一対の魂の因果が、伊吹が生まれたこの時代に報いることになる。それ自体に意味があり、この結果をもたらすために、これまでの数千年が存在したのだと、伊吹にはそう思える。

「このまま・・・あいつどっか行っちゃいそうで、怖いんだ・・・」

別れもまた必然だ。数千年前、瑞の命が散ったその瞬間に、この未来が決定された。それはもう覆せない。

だけど。
本当に自分にはその覚悟があるのだろうか。あのふらりと突然いなくなりそうな背中を思うだけで、伊吹の胸はこんなにも軋むというのに。


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