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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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風、彼方より舞い戻る 神末家綺談8

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弟は、昼間、家を出たきり戻っていないのだという。学校を休んで何をしているのか、と憤りたいのはやまやまだが、おそらく瑞と何かあったのではないかと小夏は踏んでいる。

「伊吹なら心配はいらん」
「・・・うん」
「瑞は居場所を知っていよう。何かあれば守れと厳命してきたからな」

式神は伊吹のために置いてきたということか。

「いまは好きにさせてやろうと思う」
「・・・あたしはよくわかんないけど、あいつこのまま戻らないつもりかもよ」
「・・・それも伊吹の選択だ。わたしはそれを許してやりたい」
「なぜ?」
「一族の呪いがいま、全部伊吹の肩にのっているからだ」

弟が苦しんでいる。自分たちに出来るのは結局、見守ることだけというわけだ。

「そんなわけだから、自分の身は自分で守ることにしようか」

いつものように穏やかな口調だが、穂積とて心配でないはずがない。変調が始まっている、その焦りもあるはずだ。小夏は、自分にできることをするしかない。

「そうね。行こう、大伯父様」







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