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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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風、彼方より舞い戻る 神末家綺談8

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「・・・ずるいだろ、そんな言い方・・・」

伊吹は思いのたけをぶつける。

「怒れるわけない・・・俺に瑞を責めて、未来を選べなんて言う資格ないんだから・・・」

瑞は何も言わない、ミルクティーの髪が、静かに秋風に揺れている。

「おまえのわがまま、俺は聞いてやらなきゃだめなんだ。それが義務なんだ。俺がこの時代に生まれたのは、そのためなんだから・・・!」

止まらない。義務なんていう言い方、ひどいと思うのに。瑞を救いたい気持ちは義務だからじゃないのに。完全な八つ当たり。頭の中がぐちゃぐちゃで、どうしていいかわからない。

これが、自分のお役目だったのだ。
この別れを受け入れることで、長く続いた初代の悲しみを終わらせることが。

「なんで、俺なの・・・他のお役目の時代じゃだめだったの?」

心を結んでしまったから?
それとも、このつらさに耐えることこそが、贖罪だから?
そのために出会って、時間をかけて信頼を育んだというのか?
別れをよりつらくするために?

(そうか・・・・・・これはそのまんま、瑞が味わった苦しみなんだ・・・)

これが一族の罪。命と魂を奪ってきた、血肉に宿る罪なのだ。
瑞は、己の苦しみと悲しみを、子孫にそのまんま投げ返してきたのだ。