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猫の髭は七つの夢をみる

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それから、季節が幾つ巡った頃だっただろう。薄紅色の花弁が散り、オレのオレンジの眼もグリーンに染まってしまうかと思うほど綺麗な新緑の並木。その隣にある公園の横のゴミ集積場の付近で 腹を空かせていたオレは ゴミあさりをしていた。防御ネットに覆われたゴミという名の食料。ひと雫も零れないようにと何重にもビニール袋に包まれた生のゴミは なかなか食うにありつけない。通りかかる人は、「シッ!」と威嚇する。避けてはまたゴミを捌く、何度か繰り返ししてみるが満たされはしない。
オレは諦め 公園へと入って行った。ふんわりとした砂地は排泄にはうってつけな場所だ。
気持ち良くとはいかなかったものの 無事砂掛けまで終えたオレは公園の形に添うように散策を始めた。すると、(あれ?)脚が宙に浮いた。前足の付け根辺りに温かな締め付けを感じた。オレは 抱えあげられていた。
「野良ちゃん ウチにおいで」とそのまま連れ去られたオレは、人の住処に連れて行かれた。そこで ミルクとサケ缶を出された。オレは、がっついた。とにかくがっついた。
腹の皮を少し満たし視線を上げると 品よくオレを直視している猫がいた。
『邪魔するなよ』と睨む。『わかってるさ』 ふと 背後からも視線を感じた。ここはヤバいと直感した。しかし、この住処から どう抜け出して良いかがわからない。
此処の住猫の許しを得て 隅に居させてもらった。僅かながら やつらと身の上話もした。
人は親切だった。このまま居られたら幸せだろうな。
だけど こいつらの生活だってあるのだ。
『ありがとな。邪魔したな』二日後、やつらの導きで 開いた窓から飛び出した。

これも あったかさを感じたオレの夢の出来事だ。

作品名:猫の髭は七つの夢をみる 作家名:甜茶