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猫の髭は七つの夢をみる

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実は ずっと気になっていた。この檻の中……

や? 今何かが動いた。視線だ。見られている。何処からだ?
オレは、ほっそりと伸びやかな そして高級ベルベットにも劣らないだろう手触りのよい体毛の生え揃った頚をやや斜め上に持ち上げた。と、その視線の先にきらりと太陽光を反射させる硝子のはまった窓を見上げた。
夕暮れの景色に 絶対的な存在感を持つ橙色が周りの空まで染めている。その情景が映りこむ硝子は、値の付かないほど高価なもののように感じられた。とは、やや大げさであるのは自身でも可笑しいが そのようにみえる窓だった。
その硝子窓の奥、内側で白いカーテンが揺れ、端を摘みながら、目ひとつ覗かせるに充分なほどの隙間を保ち、こちらを覗う影…… 人が居るのを見つけた。
逃げるべきか?
危害はすぐには及ばないだろう。何故なら、その事態が起こるまでにはオレには回避する時間はある。人がカーテンから手離すか、もしくは現状以上にカーテンを撥ね上げて硝子戸のロックを解除し、重さはどの程度か予測はできないが、窓を開ける。
その一連の動作だけでも 十数秒、もっと早いとしても数秒はかかるはずだ。
それは、今までの経験から予測することができた。充分だ。

作品名:猫の髭は七つの夢をみる 作家名:甜茶