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猫の髭は七つの夢をみる

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やがて、カノジョがベランダにやってきた。
オレは、少し退いて端っこの辺りに身を置いた。
カノジョがニャオンニャオンと可愛い声で鳴く。明らかに 人に甘えているな。
すると、人が手に穴が開いた細い筒状のもの…チクワを乗せて差し出した。カノジョは、警戒もないのか 近くまで可愛い顔して寄っていくと

「ニャオ!!」

人の人差し指にネコパンチしやがった。しかもネコパンチの際に鋭い爪を剥いて攻撃した。
すると人の人差し指から血液がチィーと垂れた。
痛かったろう… 代わりに謝るよ。母になったカノジョは 神経質になっているのかもしれない。
あとから 植え込みの木と檻をうまく伝って二匹仔猫がベランダに入ってきた。
可愛い。ほら、こっち見てごらん。
ん?
仔猫の毛色は…… オレは 黒い。カノジョはチャグレイの毛並。
色合いからみて、オレの仔か? もしや友… いつも二匹は一緒だったからな。
オレは、自分を思いっきり噛みついてやりたい衝動が走った。
疑うな!
目の前で 安心してチクワに齧りついているカノジョは 以前と変わらず素敵な雌猫、オレの惚れた猫だ。
誰の仔かなんてこの際関係ない。目の前のことが真実だ。
横目でオレを見るカノジョの視線は いつになく煌めいてオレに何も言わせはしなかった。 

作品名:猫の髭は七つの夢をみる 作家名:甜茶