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猫の髭は七つの夢をみる

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それからオレは、人の住処の中に堂々と入って行くことができた。
不思議な世界だった。でも 夢じゃない。けれど 夢のようだ。
以前にも 通りがかりに見たことはあったが、こうして入って行くことはなかった。
人は オレを見るが手出しはしてこない。そして いつものように食料を置く。オレは 甘んずる。いいじゃないか、くれるっていうのだからとそれを食う。

お日様のある時も 雨が降り続く時も 人はオレを迎え入れてくれた。
目に見えない繋がりを感じ始めていた。しかし、お互いの距離は今も変わらない。

それから どれくらい経ったのだろう。
焼けつくベランダの熱さを 肉球に感じなくなってきた頃になっていた。

ある夕暮れ、オレが ベランダに入ろうとしていた時だった。
オレの背後から 姿を見せた雌猫。可愛かった。毛並が綺麗だった。オレは惚れた。
オレは、そのカノジョに声を掛けた。

「にゃあぁー」

人言葉にするなら…… まあいいや。 オレだって照れるんだ。
カノジョは、チャグレイの毛並を風になびかせ ついでにオレの鼻先まで誘っているかのようだった。
オレは、器に入った粒状のものをひと口食べて見せた。
大丈夫だよ。旨いんだ。キミも食べてごらんよ。という感じだったかな。
カノジョは やや控えめに 器に顔を入れた。だが その音といえば、オレのカリカリなど可愛いおこちゃまに思うほど 素晴らしい食べっぷりだった。(かっこいい!)
ますます 気に入ってしまった。そして、オレは、カノジョと結ばれた。
オレの夢が 叶った。
そう感じたのは、また一本髭が抜けたからだ。

作品名:猫の髭は七つの夢をみる 作家名:甜茶