小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

初恋はきみと

INDEX|8ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 


「ばあちゃん・・・俺の名前って、瑞がつけたの?」

尋ねると、祖母は柔らかく笑って頷いた。ヒエピタを瑞の額に貼りながら、懐かしそうに紡ぐ。

「そうですよ。修二さんの手前、お役目様がつけたということになっているけれど、伊吹と名づけたのは瑞。亜季もそれを望んだのよ」

伊吹。命を運んで吹いてくる風の名前。

「・・・俺、大事にするよ、この名前・・・」

そこには祈りが込められている。まっさらな愛情がこめられている。穂積が瑞と名づけたのと同じように。

「与えてもらうばっかりで、何も返せないな」

ひとりごちた伊吹の言葉に、静かに首を振るのは佐里だった。

「そんなことありませんよ。この子、おまえからたくさんのものをもらったと、そう言っていたもの」
「・・・そうかな」
「誰だってね、他の誰かに何かしら与えてもらいながら生きている。お互い様、ね」

お互い様。その言葉は妙にすんなりと伊吹を納得させてくれるのだった。




.
作品名:初恋はきみと 作家名:ひなた眞白