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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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初恋はきみと

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佐里がそうしていたように、瑞の額に手をのせてやる。

「・・・なんか、話してないと・・・」
「大丈夫」

珍しく不安そうな瑞に笑いかけてやる。一人になるのが怖いのだろうと、伊吹はなんとなくそう感じた。

「・・・・・・・」

ゆっくりと、その瞳が閉じられると、やがて穏やかな寝息が聞こえてきた。

(よかった・・・眠った・・・)

うわ言のように零れ落ちた瑞の言葉を反芻しながら、伊吹は膝の上で拳を握る。熱くなる瞳の奥。

幸せになれと瑞はいう。

(・・・おまえから幸せを奪ったのは、俺たち神末の血なのに)

憎しみと、血を分けた子孫への愛情の狭間で揺らいでいるのかもしれない。
その複雑な胸中は伊吹には計り知れないが、自分のやるべきことはただ一つだ。

「・・・おまえを忘れて幸せにはなれない。俺はおまえも幸せにするぞ」

おまえの望む願いが叶った先に、おまえの幸福があるのだというのならば。

「・・・それが、俺の、幸せなんだからな」

だから絶対に負けない。自分の中の寂しさや弱さに、挫けない。瑞のことを思えば思うほど、伊吹は強くなる自分を感じる。へこたれるな、と涙を拭いて立ち上がることができるのだ。

「眠ったのかしら」
「ばあちゃん」

水差しと薬を盆に載せて、佐里が戻ってきた。

作品名:初恋はきみと 作家名:ひなた眞白