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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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初恋はきみと

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「だが・・・穂積に出会って名前をもらい・・・佐里に出会って優しさをもらい・・・血を分けたおまえたちを・・・愛おしく思う気持ちが生まれたことも、嘘じゃないんだ・・・」

優しく柔らかな口調に顔を上げると、瑞の目は細められ笑っているのがわかった。

「・・・何なのだろうな、これは・・・。佐里も、亜季も、小夏も、おまえも、絢世も・・・・・ついでに紫暮もか・・・、おまえらみんな幸せになって・・・俺のことも、罪も、全部、忘れて、生きていけば、いい・・・」
「・・・・・・」
「・・・聞いているか、伊吹」
「・・・・・・う、うん、ちゃんと聞いてる・・・聞いてるよ瑞」

寝言と会話しているかのような思いだが、心の奥底の瑞の本心に触れているのだと伊吹にはわかる。心がじんわり温かくなるのがわかった。瑞の心にようやく触れられた、そんな気持ちになる。

「おい、なあ・・・俺は、おまえの名前は、忘れんぞ」

やはり支離滅裂だ。突然何を言い出すのか。熱のせいだろう。理路整然としたいつもの瑞と違うのがおかしくて、伊吹は噴き出す。

「なんなの急に。俺の名前がなに?」
「命を運んで吹いてくる風の名前・・・俺がつけたんだぞ・・・」

初耳だった。

「・・・そうなの・・・?」
「穂積の跡目だから、特別にだ・・・」

ふ、と瑞の目が閉じられて、眠りに落ちたかに見えた。しかしの瞳はすぐに開き、ぼんやりと伊吹を見つめるのだった。

「俺・・・いま何か言ってたか・・・?熱のせいか・・・頭がまわらん・・・」
「大丈夫だよ瑞。おやすみ。もうゆっくり休んで」

作品名:初恋はきみと 作家名:ひなた眞白