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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
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そらのわすれもの5

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ガタン!!

竜也の言葉を遮るくらいの大きな音を立て、琴恵は椅子から立ち上がった。
耳を塞ぎたくなるくらいの大きな音に他の教師陣は飛び上がりそうになった。

「給湯室にお茶を汲みに行こうかと思うんですが、飲みたい方はいますか?いますよね?」
怒りを精一杯圧し殺した琴恵が満面の笑みで、職員室を見渡した。手は仕切りに口紅を拭い取っていた。

聞き耳を立てていた教師陣は、一人、一人と挙手をする。見事なまでの、チームワークだ。

犠牲者は一人でいい…。

「天野先生、一人じゃ運べなさそうなので、手伝って貰ってもいいかしら。」
とてもいい笑顔だった。
でも、身体は僅かに怒りで震えている。

琴恵と竜也がいなくなった職員室で、残された先生達は安堵の溜め息を吐いた。
「怖かった…。」
「今日は何があったんだ?ここで、喧嘩とかしないで欲しいんだけど。生徒だって入るんだしさ…。」
危うく巻き込まれそうになった鈴木先生が昼食のパンを食べながら、頭を掻いた。顔は先程の気遣いで疲弊しきっている。
「まあ、でも、マシになったんじゃない?一番酷い時は罵りあっていたし、竜也君の枕元に包丁持った風間さんが立っていた事もあったらしいから、これくらいねぇ…?」