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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの5

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少し間が空く。
妙な空気が流れる。

慌てて優太は切り出した。
「寂しいと言うか、悔しかったのが正しいんだと思う。」
「悔しい?」
「悲しそうな顔をする姉さんや母さんに何も出来なかったから。」

気休めでも、離婚して去ってく家族に何か言った方が良かったに違いなかった。優太は今もその光景が忘れられない。少し広くなった部屋と名残惜しそうに立ち尽くす、姉と母の背中を…。

「まあ、でも、大丈夫だよ。最近、連絡を時々とるし…。」
「そうなの!?」
「ほとぼりが覚めたんじゃないのかな。たまにメール来るよ。」
「へぇー!」
知春は嬉しそうな声を上げると、手を胸の前に置き、目を細めた。本当に、とても、嬉しそうだ。
「やっぱり仲良しが一番だよね!」
「…まあ…。」
余りに力強く知春が言うので、優太は何とも言えない恥ずかしさを覚え、少し落ちかけていた鞄を肩にかけ直した。

「お父さんと知秋ちゃんも仲良しになればいいんだけどなぁ~!!」
知春は、くるっと優太に背を向けると、公園の出口に向かって歩き始めた。風がふわっと吹いて、知春のスカートを揺らす。

「そう言えば知春ちゃんは、お父さんとうまくいってる?」
優太が知春の方を向いて聞くと、振り返った。その顔はさっきと違い、寂しそうだ。ガラッと雰囲気が変わったので、優太は思わずドキっとしてしまう。
「うん!でも、限界だと思うよ。」
「…。」