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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの5

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琴恵はアップルパイを守るように握りしめると、きっと竜也を睨んだ。

「何で!?」
教室で知秋がレバニラの入ったお弁当箱の前で悲鳴を上げ、のけ反った。

美紗は机越しから、知秋の弁当箱を見ると首を傾げた。
「知秋、いつからニラ食べられる様になったの?」

二人は正に机をくっつけて昼食を食べるところだった。

知秋は、まじまじとそのお弁当箱を眺める。しかし、どっから、どう見てもレバニラにしか見えない。
「苦手なままだけど…。」
知秋はげっそりとした。美紗はお箸を一旦置き、不思議そうにレバニラを眺めた。やっつけ仕事の様に、お弁当箱一面にレバニラが詰まっている。普段の可愛らしい知秋のお弁当からは想像のつかない、ワイルドな出来映えだ。
「知秋、ずっと自分でお弁当作って来ていたよね…。何で、駄目な物を作ってきたの?しかも、それしか入ってないじゃない…。」
「うーん…分からない…。」
知秋はツンツンとお箸でニラをつつく。しかし、掘っても掘ってもニラとレバーしか出てこない。

知春にずっと食事を任せてきた。お弁当もその例外ではなく、知春が夜に詰めたものを持ってきていた。問題はなかった。身体が同じである為か、お弁当箱には知秋が丁度食べたくなるものが大抵入っていた。

なのに、今日は知秋の嫌いなニラがぎっしりとお弁当箱に詰まっている。しかも、これまた癖の強いレバーと一緒に。これは大問題だ。