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情熱のアッパカパー要塞

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「リッカ。ペロピンは戦闘用に作られたロボットだ。遊びに使うんじゃない」
ソークスがリッカの首根っこを捕まえて言った。
 「えー、だって、パパと、お兄さまが一人占めしていたのに急に、くれたんだよ。使いたくなるのは当然じゃない」
リッカは不満そうな顔をしてソークスの手を掴んだが。ソークスに引きずられていった。
 「ここは、他流派の連中が多すぎる。後で稽古を付けてやる。名前は何て言うんだ」
 ソークスはマグギャランに言った。
「……俺の名はマグギャランだ」
 マグギャランは少し間を置いてから言った。



「離してよ。何で、子供みたいに扱うのよ。せっかく友達が出来そうだったのに」
リッカがソークスに首根っこを掴まれたままジタバタと暴れながら言った。ソークスもリッカには手を焼いていた。精神年齢が低かった。
「あいつが悪いんだよ。急に結婚してパーティを抜けて頭のネジが緩んだ歳の離れた妹にペロピンを任せて穴埋めとか言っているから」
 マウドがソークスに言った。マウドは、この半年近くの間そればかり言っていた。
「何よ、失礼ね私の何処が頭のネジが緩んでいるって言うのよ、個性よ、個性。私は人より、ちょっと個性的なだけなのよ」
 リッカが不満そう顔で言った。
 「まあな。だが、今の時代。これが在るから、余り不都合は感じない事は感じない」
 ソークスは。青地に金細工で模様を着けた自分の携帯電話を取りだした。
「ここ数年の間に時代は変わったな」
 マウドは溜息を付いて言った。
「後で、あいつに連絡を付けるぞ」
ソークスは言った。携帯電話で、灼熱の翼のブレーンだったノアム・グルンと連絡を取っているのだ。
 「やっぱり、わたしじゃ、ダメなんですか。そうなんですか、ダメなんですね」
治療術士のルエラが泣きそうな顔をして目を潤ませながら言った。頭が軽いリッカと比べて、湿っぽい性格の女治療術士だった。一応、ミドルンの医師国家資格を習得した、れっきとした医療魔術を使える外科の医者ではあった。
「あーっ、ソークスと、マウドがルエラ泣かそうとしている」
 リッカが意地の悪そうな顔をしてソークス達とルエラを見ながら言った。
「やっぱり、わたしは、役立たずなんですね。ぐすっ。何時も先輩と比較されて…そうです。ぐすっ。わたしは先輩ほどに才能は無いんです。ぐすっ。判っては居るんですよ…」
 ルエラが口を押さえて涙を流しながら言った。
そして白いハンカチで涙を拭いていた。ルエラの話では洗濯物は消毒薬で洗濯をするらしい。ルエラは潔癖症なのだ。
ルエラの先輩は、リッカの兄であるノアムと結婚した灼熱の翼の治療魔術担当だったミルン・ターズだった。ノアムとミルンが抜けてから、灼熱の翼は困った事になっていた。後に入ってきたリッカとルエラは、明らかに以前の2人より能力的に見劣りする事は否めなかったからだ。だが、仕方がなかった。



小1時間ぐらい経った後、スカイ達は案内役に通されて、細長いテーブルが置かれた「統合幕僚作戦参謀本部極秘会議場」と言う仰々しい意味不明の名前の巨大な看板のような物が金文字で掛けられた部屋に通された。
 極秘の割には部屋の中は木の細長い机が一つあって椅子が両側に三十脚ぐらいずつ並べられていた普通の部屋だった。日差しは日光が、よく入ってきていた。霧は向こうの方では掛かっているようだが、この部屋の外には入ってきていないようだった。絨毯が草色で、余り手の込んだ感じの物には見えなかった。そして部屋の上座の方を見ると壁一面に描かれた巨大なロード・イジアの目元をアップした肖像画があった。これが極秘の理由かもしれなかった。
よく、こんな、こっぱずかしい物を飾っているな。スカイは歩きながら思った。
 席は決められていた。
 テーブルに「W&M事務所御一行」と書かれた立て札が付いていた。他のパーティも同じだった。机には椅子ごとに紙が置いてあって「スカイ・ザ・ワイドハート殿」と書かれた紙がテーブルに置いてあった。
 それぞれが椅子を動かす音と共に席に着いた。
暫く待っていると、青い軍服を着た若い男が入ってきて。大声で叫んだ。
「ロード・イジアの御成!」
 トランペットが鳴り響いた。
 だがラッパ型のスピーカーからだった。ここでもフラクターの科学だった。
「皆さん立って下さい」
青い軍服の若い男が言った。
「なんで立つんだ」
スカイは言った。
 「そういう物なのだスカイ。黙って立て。ロード・イジアは小さいとは言え一国の国王なのだ」
マグギャランは小声で言った。
「アイツ等は席に座っているぜ」
 スカイはキャンディ・ボーイズを見て言った。足組んでテーブルの上に投げ出したり、ガム膨らませていたりしていた。
 「アイツ等は失礼な奴等なのだ。ここは風船ガムを膨らませるような場所では無いのだ。さあ立てスカイ」
マグギャランがスカイの腕を引っ張って強引に椅子から立たせた。
 「しょうがねぇな」
 スカイは立ち上がった。
だが、キャンディー・ボーイズも風船ガムを膨らませている、赤ベストに黒いシャツの男が膨らませていたガムを口にしまって他のメンバーと一緒に立ち上がった。
音楽が変わった。
 ロード・イジアが胸と突き出た腹を張ってノシノシと大股で歩いて入ってきた。服は金のモールがスカイから見て必要以上に付いているように思える白と青い服を着て、赤いマントを着けて居た。
 その後には強いヒゲの海賊みたいな中年の赤い服の男が続いて入ってきた。
 更に続いて、胃の辺りを押さえて苦しそうな顔をしている痩せた白色の髪の男が入ってきた。
「君達を呼んだのは、この私だ。このロード・イジアである」
ロード・イジアは携帯から聞こえていた声と同じ、自信に満ちた声で席に座って言った。
そしてスカイ達に向かって手を下げるような合図をした。
 マグギャランがスカイとコロンの腕を引っ張って席に着かせた。他のパーティの連中達も席に着いた。
ロード・イジアは口を開いた。
「君達、五つのパーティには、これから、我がイジア家の宿敵、アッパカパーの居城、アッパカパー要塞に潜入して我が息子の救出をして貰う」
ロード・イジアは言った。
 そしてロード・イジアは懐から封書を出して中から写真らしい物を取りだした。
「見てくれ、この屈辱的な写真を。イジアの豚と書かれて、誇り高き我がイジア家の次代を担う長男でありイジア家の男子が豚か七面鳥の肉塊の如く吊り下げられている。嘆かわしい。実に嘆かわしい写真だ。だがアッパカパーの卑劣なクソバカヤロウは、この写真をポスターにしてコモン中の国々に撒き散らすと脅しを掛けてきている。しかも後、二週間以内に身代金を七千五百ネッカー(七十五億円)払わなければ息子の屈辱的な写真をポスターにして、バラ撒くと不当な脅しを掛けてきている。許し難い。実に許し難い事だ。本来ならば、君達にアッパカパーのクソバカヤロウの暗殺を依頼したいのだが。貴族協定で暗殺は禁止されているから出来ないのだ」