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情熱のアッパカパー要塞

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 そして青いコートの首筋に付けている紋章は四大元素の紋章だった。
 四大元素を名乗る学派は、コモン中に沢山ある。だが、どれも、本物では無いと言われている。この娘が学んだ学派も四大元素を名乗るニセの系統であることは間違いはないだろう。そもそも本物の四大元素はエターナルを作り出すために集まった12賢者の一人、炎の魔女のみだと伝承で言われている。エターナルは四大元素の正当な後継者でも在るわけだ。
 「…四大元素「炎の門」学派」
 娘は目を逸らして顔を赤くして答えた。
 だが、それは、やはりナバーガーの聞いた事のない学派だった。四大元素のニセモノであることは間違いは無かった。現存する四大元素で本物と言われているのは、「猛き炎」と「雷光の裁定」だけだった。猛き炎はミドルン王国がヒマージ王国と分裂する以前のシュドリア王国を建国する際にシュド王を手助けをした偉大なる炎の魔女が作った学派だった。だが、その伝える内容は今では時代遅れだった。今ではシュド王に協力した炎の魔女も四大元素のニセモノだったと言われている。ただ、「雷光の裁定」は、シュドリア建国以前の大国ハルハトング王国の魔人宰相サージスが伝えたとされる学派で、ひたすらに戦闘向きに進化してきたと言われている。
この娘が使う、学派は名前からすると炎系であることは間違いは無さそうだった。
ならば、エターナルの氷結系の魔術を使っうのが一番妥当であろう。氷が炎を凍らせたとき、この娘も、エターナルの魔術師のみが、真に魔術師を名乗ることが許される事を理解するはずだ。民間の学派に対してはエターナルの魔術師の優位性を見せつけなければならない。それがエターナルの魔術師の誇りであった。
娘は、ポケットから何かの小瓶を取りだした。そして蓋を開けて飲み干した。
「なんだ娘。錬金術の薬か」
 ナバーガーは言った。
見る見る内に娘の顔は赤くなっていった。
 「…ひいっく。酒だ。バカヤロウ」
 娘は言った。
 「娘。エターナルの魔術師にバカヤロウと言うことは許されないのだぞ」
ナバーガーは苦笑しながら言った。
 「あちゃしは火炎魔術以外の魔術は大嫌いだ!いきなりファィアー!」
娘は両手を開いて胸を張ると口から火炎を吐いた。ナバーガー目がけて火炎が殺到した。ナバーガーがフリーズ・スクリーンの呪文を唱えるより早かった。
一瞬ナバーガーはハッとした。
 だが、火炎はナバーガーに届く前に途切れた。
 「ううっ、あちゃし。今日は魔術を使いすぎた。ううっ、もう駄目だ。疲れた」
娘は杖にもたれ掛かって地面に膝を付いた。
 児戯の様な魔術を使うが。この娘は重要な過ちを犯した。エターナルの魔術師をバカヤロウと呼んだのである。これはカーマイン大公国の元家令としても看過出来なかった。
 殺さねばなるまい。ナバーガーはフリーズ・ドライ・ボールの呪文の詠唱に入った。



スーパー箱入り娘ポロロン・アッパカパーVS二丁剣使いのラーン・オーフェル!
「ポロロン・アッパカパー。アッパカパー要塞に戻るのです」
ラーンは、ポロロン・アッパカパーに近づいて言った。
 「嫌です」
 ポロロン・アッパカパーは言った。
「聞き分けのない事を言わないで下さい。あなたは貴族としての分限を越えようとしています。責任の在る地位を考えるべきです」
 ラーンは説得するように言った。
 「わたくしは責任が在る地位にいるからこそ、小イジアと結婚して、争いの歴史を終わらせるのです」
 ラーンは、段々、イライラしてきた。ラーンは、元々、姫様に拾われた身の上だった。
それ以前は、マコーニー伯爵の街ポルンで女盗賊として盗みを働いて生活していた。
このポロロン・アッパカパーの言葉は、全て何不自由ない、甘い環境で育った者の言葉だった。ミドルン王国は、富める者と、富めない者の差は大きいのだ。そして、その差は死ぬまで変わらない。もっとも貧しい者は、野垂れ死ぬだけなのだが。ポルンの街の裏社会で生きていたラーンは良く知っていた。
だが、運命はラーンを変えた。姫様の財布をスリ取ろうとしたラーンは姫様に捕まった。
そして、従者になれと言われた。そして従者になった。
そして今のカーマイン家の家臣としてのラーンが居た。
ラーンはポロロン・アッパカパーを捕まえようと右腕を伸ばした。
 だが、突然。足首まで在る長いスカートを履いたポロロン・アッパカパーの足が跳ね上がってラーンの右手首を蹴飛ばした。
「わたくしは捕まる訳にはいきません!」
ポロロン・アッパカパーは言った。
 ラーンは油断していた事を認めざるを得なかった。ポロロン・アッパカパーも姫様のようになんらかの体術を会得しているようだった。だが、もう油断する事は無かった。多少怪我をさせても連れて帰れば良い。ラーンは腰の二丁剣をグルグルと回転させて引き抜いた。



クローン人間の怪物使いニーナ6号VS元大公国最高位医師ラヒア・タイナー!

ラヒアは、フレイルを構えた。
三頭の巨大なパンダが銀色の燕尾服を着た娘の前で二足歩行をしていた。そして、道着を着た猿がいた。
「メガトン・パンダ。デルタ・フォーメーション!」
 娘が叫んでムチで地面を叩くと、三匹の巨大なパンダが四つ足から立ち上がって二足歩行のまま走ってきた。
 そして次々と、飛びかかってきてラヒアを押しつぶそうとした。ラヒアはフレイルを振るうヒマが無かった。
三頭のパンダの連携は巧妙だった。
 ラヒアは防戦一方になった。
 暫くの間、避けている最中突然。
 横から道着を着た猿が飛び蹴りを放ってきた。その時、ラヒアはジャンプして空中に居た。
 ラヒアの横っ面に猿の飛び蹴りが突き刺さった。
 そしてラヒアの意識は飛んでいった。



 動けねぇ。スカイの足は動かないままだった。カーマイン団の老騎士の掛けた技からスカイは脱出出来ないでいた。
突然、剣を振りかぶった老騎士が横に跳んで避けた。メガトン・パンダが突進してきたのだ。スカイに掛かっていた、おかしな術が解けてスカイの足が自由になった。



ミラーナはマグギャランを切り捨てる為に歩を詰めた。
「止めて下さい。私目は、運命の貴婦人かもしれない。あなたと剣を交える事は、とても出来ません」
 マグギャランは手を振って後ろに下がりながら言った。
 「死んだ姉の剣だからと言って、男である、お前が不利益となるような武器を選択したことが、お前の敗因だ」
 ミラーナは言った。
 「私の感傷主義に、少しは同情して下さいよ。姉については結構、本当に傷ついているんですから」
 マグギャランは言った。
 「くどい。斬る」
 ミラーナは前に飛び出して切りかかろうとした。
 その時、横からミラーナ目がけて巨大なパンダが突進してきた。ミラーナは、ペガサス流剣術の体裁きで跳んでパンダの突進を避けた。