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ベイクド・ワールド (下)

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 カサイはふいに頭を抱えて、まるで壊れた機械のように笑い転げた。「ああ、その言葉。ああ、そうだった。ようやく思い出したぜ。これは“俺たち”が決めたことだ。俺はやるぞ。徹を終らせる」

 僕とカサイは横に並んで徹の真正面に立ち、僕は右手に、カサイは左手にナイフを具象化する。そして、徹の右側頭部に僕が、左側頭部にカサイが刃先をあてがう。それから、まるで熟れた桃の皮を剥くかのようにずるりと頭部の皮を剥いだ。血と肉の臭いが混じり合い、入れ替わりのない空気に満たされた小さな部屋のなかを充満させる。ふいに徹の頭の中から歯車が回転する音が聞こえてくる。徹の頭のなかで絶えずに回転し、組織をえぐり取っていく。僕とカサイはお互いに手を突っ込んで、回転し続ける歯車を握りしめ、回転を止めようとする。手のひらが引き裂かれ、肉がちぎられ、骨が粉砕されるのを感じる。痛み。痛み。痛み。視界が赤と黒に激しく明滅する。すべてが痛みに満たされ、もはや何も感じなくなった時、ようやく赤灰色をしたグリンピースほどの大きさの歯車を抜き取ることができる。これが、精神と物質が互いに作用しあう場所だ。
 
 ようやく、これでようやく、僕たちは眠りにつくことができるのだ。天井の豆電球は明滅を激しく繰り返し、そして四方八方にはじけ飛んだ。