窓のむこうは 続・神末家綺談7
「この絵じゃ話にならないし、俺たち三人が同じイメージを正確に共有していないとだめだ。というわけで、おまえ寝ろ」
「は?」
雪也は突然言われて目を丸くした。
「たぶん伊吹なら、夢に入りこめる」
「へ?」
「今はサイコメトリーっていうのか?物質や液体、空間に残った他人の記憶を、自分が経験したかのように辿れる力だ」
仰天するような話だ。それって超能力というやつではないのだろうか。死者が視えるこの少年の、底知れぬ力に慄く。
「そんなこと・・・伊吹にできるのか・・・?」
「以前、実際にしている。覚えてるな、伊吹。トモヒロの文通事件のとき」
「え?ああ・・・本を触っときの・・・」
「そう。できるはずだ。というわけでおまえら寝ろ」
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作品名:窓のむこうは 続・神末家綺談7 作家名:ひなた眞白