窓のむこうは 続・神末家綺談7
「俺も、これってあの子が関係してると思うよ」
伊吹はそう言ってノートを覗き込む。
「この公園、行ってみようよ」
「行くって・・・こんな絵じゃ聞き込みすら不可能だろ」
瑞の言うことは悔しいが最もだ。
「でも雪也くんは細部をすごくしっかり覚えてるじゃないか。公衆電話、砂場、枯れた芝生、錆びたブランコ。市内の公園を片っ端から調べてみるのもありだと思う」
伊吹はそう言って、地図を探してくるよと立ち上がった。
「待て。もっと手っ取り早い方法がある。市内に公園がいくつあると思う?地図にない公園だってあるだろうし、市外という可能性も考えるとあまりに果てしない作業だ」
瑞の言葉に伊吹は足を止める。
「そ、それはそうだけど・・・」
「夢から覚めた現実世界で、彼女は俺たちにに言葉や思いを伝えるすべを持っていない。それがどうしてかはわからないが、何か理由があるのだろう。だから夢の中でメッセージを送ろうとしているのかもしれない。少しでも早く解明してやるべきだ」
作品名:窓のむこうは 続・神末家綺談7 作家名:ひなた眞白