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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 続・神末家綺談7

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「どうあっても覆せないものがあるんだ・・・。俺の血に流れる罪は消えない。償うには、もう、これしか」

もう、これしか――

追い詰められたような声を聞いて、雪也は後悔した。伊吹の背負っているものと、雪也が背負っているものは違う。重さも、大きさも、そこにこめられた感情も、歴史も。
自分の考えを押し付け、軽率なことを言ったと激しく悔いた。

「ごめん、俺、なにも知らないのに・・・。適当なこと言っちゃったな・・・」
「違うよ、謝ることないよ。励ましてくれたんだよね。俺のほうこそごめん。気を遣わせて」
「そんなこと・・・」
「俺は大丈夫だよ」

大丈夫じゃないくせに。あんなに仲がよくて、心を許しているのに。家族を失うことがもうわかっていて、それでいて一緒にいるというのはどれだけ悲しく寂しいことだろう。

「雪也くん」
「・・・うん?」
「未来は変わるって、すごくいい言葉だ」

満足そうに微笑む伊吹。

「・・・ありがとう、ちょっと、頑張れそうな気がする」

それは本心なのだろう。伊吹の表情に明るさが戻っていた。己の無力さが、少し慰められるような気が、雪也はした。だから、雪也も笑った。それでいいのだと、そう思った。伊吹がいまを、別れの迫るいまを大切に生きているのなら、笑っていてほしかったから。

「瑞、下のコンビニ行っただけなのに遅いね。何してるのかな」
「ん、見てくる」