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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 続・神末家綺談7

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もうすぐ別れが来て、もう二度と会えないと。それが伊吹への罰なのだという。生まれる前から決まっていたことで、それはどうあっても変えられないのだという。運命、だから。

「・・・瑞は、今まで本当に本当につらい思いをしてきたんだ」
「・・・うん」
「だから、瑞の願いを、俺は何よりも一番に叶えてやろうって決めてる。それが俺自身にとってどんなに悲しくて苦しいものでも、構わないんだ」

瑞の願いが叶えば、別れが待っている。そういうことなのだろうか。

「・・・伊吹、言ってたよな。その別れは、伊吹が生まれる前から決まってたことだって。過去はさ、何があっても変えられないだろ。でも、未来は変えられるんじゃないかな」
「雪也くん・・・」
「あの少女に関わって思ったんだ・・・あの子のつらい過去も死も、もう取り返しのつかないことだろ。だけど、弟や家族は、変わっていくことができるし、幸福を選ぶことも出来る。過去を悔いて、母親はきっと変わると思う。彼女は、未来を変えたんだ」

未来は変わる。絶対に。

「瑞が俺に言ってくれたんだ。戻らない時間の出来事を嘆くのではなく、未来を変えるために雪也は彼女に選ばれたんだろうって」

だから、と言葉を続けようとするが。

「だから・・・」

伊吹が泣きそうな顔で、たぶん泣くのをこらえて、一生懸命に笑おうとしている。

「ありがと、雪也くん。でも、」

嗚咽を飲み込むようにして顔を伏せた伊吹は、囁くような声で続ける。