窓のむこうは 続・神末家綺談7
救済
この手紙を読んでくれている人へ。
見つけてくれて、ありがとう。わたしは○○町△△2丁目□□マンション701号室の小金井真咲です。
わたしはマンションから飛び降りて死にました。
これを見つけてくれたあなたに、わたしの願いを託します。
わたしのお母さんの恋人は、わたしや弟を叩いたり、ご飯を食べさせなかったりします。
お母さんはそれを知っているけど、お金がもらえなくなると困るからって、我慢させます。
お母さんは、あの男の言いなりです。寂しくて、お金がなくなるのが怖くて、離れられないんです。
怖くて誰かに言おうとしました。でも言えませんでした。
だって、言ったらまた殴られるかもしれない。それは怖いし、小さい弟が泣くのはもう嫌です。お母さんが目をさましてくれない限り、わたしも弟も逃げられない。
だから、わたしが死ぬことで、お母さんの目を覚まさせます。
そうすれば気づいてくれるかもしれない。お金より、自分の寂しさより、もっと弟を大切にしてくれるかもしれない。
わたしは、わたしの命を使って、弟を守ります。
この手紙とSDカードを、警察に届けてください。カードには、弟やお母さんが叩かれたり殴られているところが録画されています。
お母さんへ。
お母さん、わたしを死なせたことを、守れなかったことを、死ぬまで後悔して下さい。
そしてもうこれ以上、後悔を増やさないで。
翔太を、わたしと同じ目にあわせないで。
お母さん、目を覚まして。翔太を守って。
小金井 真咲
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作品名:窓のむこうは 続・神末家綺談7 作家名:ひなた眞白