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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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窓のむこうは 続・神末家綺談7

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どれ、と伊吹と一緒に雪也も覗き込む。確かに、地下鉄の駅でよく見るマークだった。

「あ・・・」

伊吹がふと顔をあげる。

「あの子、雪也くんから離れた。指差してる。案内してくれるのかな」

伊吹の視線を追っても、雪也にはやはり何も見えない。しかしここはついていくべきだろう。行こう、と雪也は自転車にまたがる。

「伊吹、ナビしてくれ」
「わかった」

荷台に伊吹をのせて、公園をあとにする。後ろから瑞が、もう一台の自転車でついてくる。人気のない雨の街。霧雨が身体に冷たい。自分はいいけれど、伊吹や瑞が風邪をひいたらどうしようかと心配しながらペダルをこぐ。

「・・・雪也くんさ、俺、夢の中の公園で雪也くんに会う前に、彼女の視点で世界を見たって言ったでしょ?」

商店街を過ぎる。伊吹が背中から小さな声で話しかけてきた。

「ああ、言ってたな」
「あの子の世界に、やっぱり雪也くんがいたんだ」
「え?」
「雪也くんに、会ったよ。あのマンションのエレベーターで」

霧雨にとけてしまいそうな伊吹の声と、白く包まれていく街。山から下りてくる冷たい気配。夜には本降りになるかもしれない。

「誰にも助けを求められなくて・・・傷ついていた夜中に、雪也くんに会った。エレベーターのボタンを押してくれた。風邪ひくよ、おやすみって、優しく笑ってくれた」

・・・覚えていない。少女とそんなふうに邂逅したこと。